コートハウスニシキチョウ
所在地:宮城県青葉区錦町
主要用途:集合住宅 長屋
設 計:トコツク建築設計事務所
施 工:T-plan 株式会社
敷地面積: 459 ㎡
建築面積: 229 ㎡
延床面積: 483 ㎡
(1階:220 ㎡ 2階:190 ㎡ 3階:73 ㎡)
階 数:3階
構 造:木造 KES工法
工 程:設計 2022.01~2022.09
工事 2022.10~2023.08
写真撮影:小関克郎 株式会社大武写真館
Concept
「中庭 ~光庭・集い庭~」
南側を高層ビルによって囲まれ、採光の確保が期待できない土地に集合住宅を新築する計画です。
敷地に光が差し込むことがほとんど無く、唯一敷地の中央に数時間太陽光が差し込むことが周囲の建物の日影検討と現地調査によって確認できました。その太陽光を最大限に活かす計画としました。
一般的な建物配置計画では、敷地を目一杯使い、整形で四角い建物とするケースが多く、当該敷地の場合、差し込む貴重な太陽光を当該建築物自身で遮る事になってしまいます。その貴重な光をグランドレベルまで落とし1階から3階までの居住者すべての人が差し込む太陽光を共有することのできる建築を計画しました。
コの字型の建物配置し「中庭(コート)」を中央に設けることで、
・太陽光を1階まで届けるための「光庭」
・各住戸へアクセスする動線となり、居住者同士のコミュニティを生み出す「集い庭」
2つの役割を果たす「中庭(コート)」を計画しました。
「中庭(コート)」を設けて太陽光を全ての住戸が共有できるようにするためのコの字型の建物配置は、一方では敷地に十分な広さが無い事による中庭を挟んだ各住戸間の距離の近さや三方を建物に囲まれる事による低層部の暗さや閉塞感、北側スーパーへの圧迫感や日照の阻害などの課題を生む事が想定されました。そのため、中庭を挟んだ二つのボリュームを北側の低層部のみで接続する事によって、低層部の暗さの解消や中庭の開放感と北側への視線の抜けの確保、スーパーへの圧迫感の軽減と日照阻害への配慮を行っています。また、中庭のグランドレベルを北側に行く程高くする事で中庭がより明るくなり視線が抜ける工夫や、植栽や開口部の位置によって居住者同士の視線をコントロールすることで、住戸間の距離の近さを解消しました。中庭を設ける事で生じる課題と丁寧に向き合い設計を進めた事で、単に中庭を設ける以上の質を持った中庭と豊かな居住環境を実現しています。